Fortunate Link―ツキの守り手―



* *



場所はレセプションホール。

その二層目にある小さな部屋。

落ち着いた色調の室内には、4人掛けのテーブルが広い間隔を置いていくつか並んでいる。

この部屋はパーティーの客人達がちょっと休憩したり、談話したり、気軽にテーブルゲームに興じたりできるようなスペースになっていた。

しかし、今はその室内には二人の人間しか居なかった。


「まるで見世物ね」


そのうちの一人、ゴージャスなドレスに身を包んだ茶髪の美少女がうんざりした声で言った。


「まるで、じゃなくて正真正銘、誰の目から見ても見世物よ。私達」


相対する、大きな目と色白の肌が印象的な、人形のような顔立ちをした少女が答えた。

彼女達の上方には照明と共に1台のカメラが吊るされていた。

今、現在進行形でこのテーブルの上で進められているチェスゲームは、ライブでパーティー会場のモニターへと映し出されていた。


「ふふっ。本当にそうね。くだらない余興だわ」


茶色の髪を搔きあげながら、優雅に微笑む。
耳元でダイヤが嵌められた星形のイヤリングが揺れていた。


「あなたの会社に吸収された側の人間として、あなたに負ければ、場は盛りあがるのかしらね?」


盤上の白の駒を動かしながら、問いかける。

彼女は、大手海運会社、栗原汽船の代表取締役の御令嬢、栗原椎菜(クリハラシイナ)。
そして彼女に相対する少女は、この船上パーティー主催のYKユニオングループの総帥の御令嬢、白石星羅(シライシセイラ)だった。

そして今日の船上パーティーは、YKユニオングループが栗原汽船と吸収合併したことを記念して行われているもので、今の発言にはそういう意味合いが込められていた。