「ちょっと待て!
今のお前のセリフは俺が言いたいセリフ!」
降りかかる理不尽に俺は全力で突っ込んだ。
「ああん?!」
だめだ。聞いちゃいねぇ。
時間が無くて焦っているのは分かるが、無闇にこっちに矛先を向けないで欲しい。
「わ、分かった。
いったん落ち着こう。
そして、そこにある船内図を一緒に確かめようじゃないか」
俺はアカツキに胸倉を掴まれたまま、廊下の壁に掛けてある船内図を指差した。
「ちっ」
アカツキはやっと掴んでいた手を離してくれた。
二人で、階ごとに書かれたその図を覗きこむ。
思えば最初からこうしていれば良かったのかもしれない。
「……ふむ。
今居る場所がここで。
それでパーティー会場のレセプションホールは5階のメインデッキで…」
そこでふと気付いた。
(そうか。デッキごとに名前が付いているのか)
そう気付いた俺は、もしかして、とあの犯行予告文のことを思い出した。
『――太陽の上。赤い光が灯る港…』
(……まさか…)
階の横に書かれているデッキ名を見つめる。
「5階はメインデッキ……プラザデッキ…ホライゾンデッキ……」
下から上の階へとデッキ名を辿って行く。
「………あった…」
それは犯行予告文と一致する場所。
「……シュン。どうした?」
アカツキが怪訝そうな顔で訊いてくる。
俺は”それ”の意味が分かった嬉しさから、つい笑みをこぼしながら答えた。
「――アカツキ。上へ行くぞ」

