「趣味の悪い部屋だな」


赤と黒を基調とした少し薄暗い室内を見回しながらアカツキは言った。

ぼんやりとした光源はランプシェードの付いた灯からのものだった。
ウッドオブジェや重厚な調度品が何だか渋い雰囲気を醸し出している。


「おい。まずいって。人が来たらどうするんだ」


「爆弾探してるって言えばいいだろ」


「通じるか!そんな理由!」


平然と答えるアカツキに全力で突っ込んだところで、入口付近から人の声がした。


「ほら。言わんこっちゃないっ」


とりあえず隠れなければ。

俺はとっさにアカツキの手を引き、部屋の隅へ移動。
そこにあったアンティーク調の猫足のデスクの下へと潜り込んだ。

狭い場所なので自然とアカツキと俺は密着した状態となった。


「お前、私のドレスの裾を踏んでるぞ」


「あ、ごめん」


「ってか引っ付くな」


「仕方ないだろ。場所が無いんだから
…って静かに」


声を潜め、無駄話を終わりにする。


扉付近から「どうぞこちらへ」という声が聞こえた。