「――お前っ、『分かるに決まってんだろ』てあれだけ自信満々に言ってたじゃねえかよっ」
気付けば俺はアカツキに食って掛からん勢いで迫っていた。
「あんなの、白石を撒くための嘘に決まってんだろ」
しかしアカツキはと言えばこの通りしれっとしている。
「なんだって、そこまで白石さんを遠ざけようとするんだ?」
「奴が居てどうなる問題じゃないだろ」
「そう決めつけるのはどうかと…」
「だったら奴が居てどうしてくれると言うんだ?」
「それは……」
俺はしばし言葉に窮した。
「……金に物を言わせてどうにかするとか…」
「ろくでもねぇ」
アカツキは言い捨てた。
「でも場所を捜すんなら、一人でも人数が多いに越したことないだろ」
「…いや、少ない方がいい」
アカツキは頑なに否定する。
「なんでだよ?」
「巻き込むわけにいかねぇだろ」
アカツキはやけに真剣な顔で言った。
「直感だが、これはおそらく私が目的の脅迫だ。
だとすれば、前みたいにあんな刃物を持った女が出てきてみろ。」
「……アカツキ」
「…だから、関係の無い奴に居られても困るんだよ」
アカツキはその表情を隠すように、ふいっと顔をそらせた。
(……そうか。
アカツキもアカツキなりに危機感を感じていたと言うことか。)
やはり怖い者なしのアカツキとはいえど、あの保健室での一件はこたえていたようだ。
「……でもマジで、この脅迫状通りに爆弾仕掛けられてたらどうするんだよ」
「その時はお前に守って貰う」
アカツキは即答した。