「…守谷君?」
虚を突かれたように、俺の方を見る白石さん。
俺はそんな彼女を見つめ返して、告げた。
「ここは俺とアカツキに任せてくれないか。
アカツキの言う通り、これはアカツキを呼び出す目的だけで書かれたもののような気がする。
おそらくこの爆破するというのも、『絶対に来い』という意味を込めた脅しに過ぎないと思う」
「それならなんで、ちゃんとした場所が書かれてないのよ?」
「それはこれを見たアカツキ以外の人間がその場所に来られたら困るからだと思う」
「じゃあ、月村さんならこの紙に書かれた場所が分かると言うの?」
白石さんはアカツキの方を見て、すかさず問い掛ける。
それは俺にも答えられないことなので、同じくアカツキの方を見るしかなかった。
「――分かるに決まってんだろ」
アカツキは俺達の方を見返し、表情も変えずにやたら自信満々に答えた。
「……さっきは分からないって顔してたじゃない」
「今しがたピンと閃いたんだよ」
「そんないい加減な…」
「白石さん」
言い募ろうとする白石さんを再度止めた。
「……なんとかしたい気持ちは分かるけど、白石さんはパーティー会場に戻った方がいいと思う。
居なかったら色んな人が不審に思うだろうし」
「……でも」
「大丈夫。
絶対に何事もなく終わらせるから」
そう言ってから「それに」と付け加えた。
「負けられない勝負があるんだろ?」
「………」
白石さんは少しその顔を俯けた。
疑っていたわけではないが、負けられない勝負があるのは本当らしい。
「ちゃんと応援できなくて悪いけど、影ながら応援してるから」
「………」
白石さんはふいと俺達から目をそらした。
「分かったわよ…」
少し弱々しげに頷いた。
「物凄く腑に落ちないけど、あなたのいう通りにしてあげる。
その代わり全てが終わってから、あなたも私の言うことを一つ聞きなさい」
「………」
少し躊躇ったけど、
「分かったよ」
頷くと、白石さんはちょっと嬉しそうに微笑んだ。

