Fortunate Link―ツキの守り手―






さすがにずっと太陽の下に居るのも暑くなってきたので、パラソルの下へ移動した。

テーブルの上にはトロピカルなジュース。

そしてそれを囲う椅子には、濃い目の色のサングラスを掛けた白石さんが座っていた。

その向かいには俺。


「あっ。
月村さん、ナンパされてる」


白石さんがそう言うので見てみれば、飲み物を買いに行ったアカツキがプールサイドで派手そうな男達に囲まれていた。

なんと命知らずな奴らだろう。


「助けに行かなくていいの?」


「あれぐらい大丈夫だよ」


そう言っているうちに、アカツキが相手の膝下に次々蹴りを入れていった。

男達はその場にくずおれ、膝を抱えて悶絶している。

可哀想に。そこ蹴られると痛いよな…。


「ほらな」


「本当ね」


傍観している俺達はのんびりと頷き合う。


どこからともなくバンドの音楽が風に乗って流れてくる。

海外の民族音楽っぽい曲調。


「…平和だな」


「そうね」


「でもこのままずっと船の上だったら退屈しそうだな」


「そんなことないわよ。
何ヵ月に渡るクルージングでも、常に船上では至るところで色んなイベントが行われているから、退屈する方が難しいって聞くわ」


「はぁ。
金持ちになったことが無いからその気持ちが分からんな。

――って白石さんはそっち側の人間か」


何気なくそう言うと、一瞬だけ間があった。


「………そうでもないわ」


白石さんはサングラスを頭の上におしあげ、俺の顔を見た。


「……え?
どう見ても生粋のお嬢様だろ」


彼女をお嬢様と呼ばずして、どういうレベルの人をお嬢様と呼べばいいのか。
庶民の俺には到底、想像も及ばない。

すると白石さんは小さく微笑んだ。


「……生粋じゃないわ。
私がこんなふうにお嬢様として過ごしてきた時間は実はごく短いのよ」