「えーっと。…お前ん家で暮らせだって」
仕方なく言われたままを言う。
だって言うしかない。
全くもって理解は出来ないが、俺の帰る場所は無いらしい。
家があるのに帰れないってどういうことだよ。
あまりの理不尽さに腹がたつけど、どうしょうもない。
あの親は「そうだ」といえば絶対に「そう」なのだ。
家庭内ではいつでも強固なファシズム体制がしかれていた。
しかしアカツキは特に何の反応を示すことなく、無言で家の中へ入っていく。
「あーっ。待て待てっ」
慌てて引き止める。
「スルーすんな!」
「だって無理だろ」
アカツキは率直に言う。
「お前と一緒に一つ屋根の下で暮らすなんて…」
「……同感だが、他にどうしようもなくて、だな」
ほとほと困り果ててて言った。
するとアカツキの双眸が唐突に不穏に光り、その右拳が唸った。
俺は間一髪でそのストレートを避けた。
「同感だぁ?」
鉄拳以上に威力のある眼差しで睨めつけてきた。
「こっちこそ願い下げだ。野宿でも何でもしやがれ」
まるで鬼のようなことをおっしゃる。
「薄情過ぎんだろ」
「知るか。こっちはもう二日も泊めてやったんだ。それだけでもありがたく思え」
数分間の押し問答が続いた挙句、無情にも扉は閉め切られ、俺へ外に残された。
(……どうしよう)
とりあえず、あのふざけた親にガツンと一言物申したい気分なのだが、それが叶わないだろうことは15年間の経験から学んでいる。
本当に最悪だ。
まったく信じられない。思春期の子供同士を暮らさせようとするその神経、どうよ。
(いや。そんなことより今のこの状況だ)
俺はアカツキの家を見上げた。
扉は鍵を掛けられてしまった。
だけど戸締りのずさんなアカツキのことだ。絶対にどこかの窓は開いてるはず。
「……うーん」
しかし勝手に侵入すればまた怒らせることになる。
今でも十分に怒っているらしいのに更に怒らせるとどんなことになるか、そら恐ろしい。

