「……お前の?」
アカツキは首を横に振った。
「違う」
難しそうな顔をしてその山を怪訝に眺めている。
そしておもむろに、その一番手前の一番上の段ボールの上へと手を伸ばした。
そこに一通の封筒が置かれていた。それを手に取ったのだ。
アカツキは封を開け、中身を取り出す。
一枚のその紙を広げた。
俺もひょいと覗くようにしてそれを盗み読む。
『明月ちゃんへ
うちの俊のことを頼みます。どうか一緒に暮らしてやって下さい。
私達は心から二人の恋路を応援してます。いずれ結婚したら二世帯住宅を建ててください。楽しみにしてます。 守谷香織』
見覚えのある筆跡が踊っていた。
俺は青くなるのを通り越して肌が白くなるのを感じた。
血の気が「引く」というより「失せた」感じだ。
凄まじく嫌な予感を感じて、その段ボールを破り開けた。
中身を露わにさせる。
その箱の中には――、
「あぁぁっっ」
それを目にして、呻きにも似た感嘆の声を上げてしまった。
馴染みある物ばかりが並んでいた。
衣類、靴、帽子、鞄、教科書、漫画、DVD、…エトセトラ。
どの箱を破いて開けても知ってるものばかり次々と出てくる。
お察しの通り、これ全部俺のものです。
「……やっぱり」
がくり、と肩を落とす俺の隣で、アカツキが仁王立ちしていた。
「どういうことだ、こりゃ」
再び、というか更に、怒りを点火させてしまったようでアカツキは激しく俺の方を睨んでいた。
「ちょっと待て。俺だって何が何だか…」
両手を差し出して、怒りを押しとどめる姿勢をとる。
こっちだって甚だ混乱してるんだ…。
そこへ、計ったとしか思えないタイミングで携帯の着信が鳴った。
いつもは何でもないその音が、今は不吉を告げる音色のように聞こえた。
俺はポケットから携帯を取り出し、着信相手の名を見た。
そこには嫌な予感通りの名前が有った。

