「…………あんだと?」
アカツキが怪訝な声で返した。
だけど白石さんは怯まず、むしろ挑発的な眼差しをアカツキに送った。
「月村さんは知ってる?シュンの弱点」
「……は?」
眉根を寄せるアカツキに、白石さんは自分の口元に人差し指を押し当ててみせた。
「――情熱的なキッス」
不敵な笑顔をしたと思ったら、急につかつかと俺の方に歩み寄ってきた。
背伸びして、慣れた仕草でぐいっと頭の後ろへ手を伸ばしてきて…。
引き寄せられたと思ったら、いきなり口を唇でふさがれていた。
「……ん…んんー…」
あまりのことに、思わず、声を上げた。
目が回った。
不意打ち過ぎてパニック。
しかも相手は下からぶら下がるように首に抱きついてきていて全く離れない。
口の隙間から深く舌を入れてきた。
顔を巧みに動かして、息継ぎをして、時折あえぐような声を出して。
そのくせ隙がない。
逃げようとしても逃げられない。
完全に手玉に取られていた。
とてもじゃないが、これは素人の所業じゃない。何もかも心得すぎている。
「…んーんーんんんっっ」
限界を通り越して悲鳴をあげたかったが、変な声しか出ない。
息さえままならず酸欠状態。死にそう。
「――なななな何やってんだ!!」
大音声が響き渡る。
アカツキの怒声が合図となったように、白石さんは顔を離した。
俺は情けないことに腰を抜かして、よろついた。
「ほらね」
白石さんは満足したように弱ってる俺の様を見て、艶っぽく笑う。
「――何が『ほらね』、だ!てめぇ頭がおかしいだろ」
傍で怒声が爆発。
アカツキは怒り心頭だ。
「羨ましかったら月村さんもしてみれば?」
対する白石さんは余裕の笑顔でアカツキを挑発した。
アカツキは鬼の形相で顔を真っ赤にしながらも言葉を失っていた。

