俺もそちらを見やったまま驚愕に固まった。
(……なんで白石さんがここに?)
状況が状況だけに、何て声を掛けたらいいのか分からず、余計に混乱する。
ていうかそこに居るってことは、明らかにいきさつを全部見られちゃいましたよね…。
「あの……ぇ…えっと…これは……」
ともかくもはっきりと言わなきゃいけない。
混乱しながら言葉を模索する。
以前の返事をしていないままなのだ。
順序が逆になってしまって悪いことをしてしまったが、この場で何も言わないでいる訳にはいかない。
「…じ、実は……俺…」
そう言おうとして、いきなり白石さんがバッと手を出して制してきた。
「…分かってたよ。そうだろうってことは」
奇妙に明るい声で言う。
見るとその瞳は悲しそうに笑っていた。
「………白石さん」
針で刺されるより、もっとチクリとした痛みが胸に走った。
いたたまらないほどの罪悪感に襲われる。
「…あ。私に悪いなんてコト、思っちゃダメなんだからね」
見透かすように俺のほうを指差してきて白石さんは言った。
「それに私、まだ諦めるつもりなんて無いから」
「…………え?」
俺はぽかんとして白石さんを見た。
彼女は笑みさえも浮かべて、平然としている。
「私はまだシュンを諦める気持ちなんてさらさらないよ」
言って、うふふふ、と微笑む。
「だって私達まだ高一だよ?あと二年間も残ってるんだよ?二年もあればまだまだ色々なことが出来るわよね」
その笑みはいつもの小悪魔な笑みに変わってきている。
「それにね、私、気づいちゃったんだ」
ずっと俺のほうを見てたその目が、すっとアカツキのほうへと動いた。
「私はあなたに決して負けてない、って」

