だけど、ぼけっとしている場合ではない。
追いかけなければ。
自分を奮い立たせ、ベッドから起き上がり、後を追って部屋を出た。
ドタドタ、と階段を降りる音がした。
俺も後を追って階段へ向かう。
なんだか変な気分だ。
ナゼにアカツキは逃げて、俺はそれを追いかけてるんだ。
鬼ごっこでもやってんのかこれ。
階段の中ほどで、下のほうからパタパタと廊下を走る音が聞こえた。
くそ。どこまで逃げるつもりだ。
「アカツキ」
階段を降り切ったところで、玄関を出るアカツキが見えた。
外へ出るつもりらしい。
半端ない逃げっぷりだ。
「おい、待てって」
玄関まで猛ダッシュ。
闘争心じゃないけど、何かしら火がついた。
絶対に逃がさん。捕まえてやるっ。
「こらっ。待て待て」
外へと飛び出し、走るアカツキの背を目で捉える。
ターゲットロックオン。
全速力で道を走り抜ける。一気に加速。体の調子はすこぶる絶好調だ。脳内イメージとしてはウサインボルト氏。
人類最速になれたかは分からないが、ともかくアカツキに追いついた。
ガッとその肩を捕まえて、引き止める。
「待てって…もう…」
ゼェと荒い息を吐いて、でも手だけは離さなかった。
「何で逃げるんだ」
アカツキは困ったように視線を巡らせていた。
俺はその様子を見て、余計に困り果てながらも言う。
「まだ返事も訊いてないのに…」

