「というわけでー。
一緒にプールに入りに行きましょう!守谷君!」
「なにが、とういうわけで、だ。
つうか、先に腕を離せ」
「……それはいやよ。
だって」
腕にむにっと柔らかい感触。
見ると、白石さんが腕に胸を押しつけてきていた。
「……お、おい」
「今日は月村さんが居ないもの。
学校に居たら、そんな機会って滅多にないでしょ?」
「……な、何言って…」
その時、ふと背中に永久凍土のような冷気を感じた。
「――私が何だって…?」
聞き覚えのある鋭い声で、びくりと体が反応した。
(……ま、まさか。この声は…。
…いや。そんな馬鹿な……)
さぁっと血の気の引く音を訊きながら、声のした方をを振り返る。
そこには目つきの悪い金髪女――もとい、アカツキが腕を組んで仁王立ちしていた。
「…ア、アカツキ」
予想外すぎる登場に、驚きすぎて声が上ずった。
「お、お前…何でここに?」
確か昨日会った時、くじ引きが当たってどこか行くとか言ってた気が…。
「そりゃぁ、こっちのセリフだ」
今日はいっそうその目つきが険しく鋭く感じられる。
「そうよ。
なんで月村さんがここに居るの?」
白石さんも俺の疑問に加勢した。
「私は――」
何か思い出すように眉間に皺をよせ、顎に手を添えながら、
「……学校帰りにたまたま拾った商店街の福引券でくじを引いたら特賞が当たって、それがこの船のクルージングの招待券とか何とかだっただけだ」
「……へ、へぇ…。
聞きしに勝るめちゃくちゃな強運っぷりね。さすがだわ」
さすがだわ、と言っている割に眉根がぴくぴくと震えている。
そして一瞬後ろを向き、「…ちっ。そういえば広報が船の宣伝も兼ねてそんなこともしていると言ってたわね。余計なことを…」と毒づいていた。

