「…………」
俺は何も言えずに、傍でアカツキの顔を眺めていた。
アカツキは不意にその目を伏せた。
「でも母さんを失くしてから、薄々と感じ始めてた――」
表情からは笑みが消えうせる。
「私が強く願えば、同時に何かが変わる。
それは何かを…誰かを失うことかもしれない」
何かを押し殺すように淡々と言う。
「最近になって、お前と一緒に居ることが多くなってから、そのことをより強く自覚するようになった」
俺はそんなアカツキから目をそらせなくなっていた。
「……だんだんと……怖くなった」
掠れるほどに弱い声で吐いた。
腕組みしていた手が、自然と掻き抱くように腕を握っている。
自分でもそのことに気づいたのか、アカツキは慌てた様子で腕を組みし直して深く息を吐いた。
「あの親は…もしかして、そのことまで予測してたのかもしれない」
「…………予測?」
ようやく訊き返すことが出来た俺に対し、ぽつりとアカツキは答える。
「こうとも言ってたんだ。
『その力に怖くなっても大丈夫』だって。『なぜなら、その時には…」
そう言いかけて、急に言葉を詰まらせた。
はたっと何かに気づいたように顔を上げた。
俺のほうを見て、明らかにうろたえた様子で、なぜか顔を少し赤くした。
「……その時には?」
「……ぅ……い…いや…。……だから…その…」
らしくなく言いよどむ。
「………お前、気を失う前に言った言葉覚えているか?」

