すると、アカツキは冷ややかな眼差しを向けてきた。
「何言ってんだ。無理に決まってんだろ。学校もあるし」
にべもなく答えてくる。
ささやかな期待はことごとく砕かれてしまった。
気づかれない程度にそっと溜息をつきながら思う。
そうだよなぁ。いくらなんでもあれは夢だよなぁ…。
「それに明日はもう終業式なんだ。たんまり休んだんだし最後くらい出ろよ」
厳しい現実を突きつけてくる。
まあ、出るけどさ。
「…お前……ベッドは…」
「ソファーで寝てた。布団出すのとかめんどいし」
あっけらかんと言う。
そういう問題じゃない、と思う。
それなら俺をソファーの上にでも転がしてくれてたら良かったのに。
柔らかい布団から薫ってくるささやかで優しい匂いが、ちょっと頭の芯を変なふうに刺激してきておかしくなりそうだ。
「――悪かったな」
様々な意味を込めて謝った。
どうやら知らないうちに迷惑をかけてしまったようだ。
「別にいいよ…」
そっぽを向いて、アカツキは小さく言った。
「…………」
その横顔を見ながら「あれれ」と思う。
珍しく殊勝な態度だ。
いつもなら「そうだ感謝しろ」とか「謝っただけで済むか」とか言いそうなもんなんだが。
「お前さ、寝てる間に何か言ってたな…」
代わりにそんなことを言ってきた。
「……うん」
何気無く頷く振りをしながら、内心驚いていた。
思い当たりはありすぎる。つーかばっちりある。
(……えっ。ってことはあれは夢じゃなかったの?)
アカツキは今回ばかりはそんな俺の心を読まなかったようで、自分のペースで話を続けた。

