自分でも自分の言い出したその言葉に少し驚いていた。
アカツキは何も言わなかった。
でも、こちらをじっと見つめている視線を感じる。
「…その力はな、すごく大事なものなんだ」
握りしめた手は、ほんのり温かくて、切なかった。
でも優しい気持ちをくれる。
「だって、俺はその力に助けられたんだ…」
それはただの幸運じゃない。
アカツキが、そう願ってくれたから。
「お前は……知らないかもしれないけど……でも、本当に、そうなんだ。
俺はお前のおかげで今、ここにいることが出来て、お前はその力のおかげでここにいるんだ…」
アカツキに、自分に、言い聞かせるように言う。
心の奥底が温かくなっていくのを感じる。
きっと、そうなんだ。
ずっと、そうだったんだ。
そのツキは”願い”だ。
きっとこんな気持ちで、アカツキを守りたくて、アカツキの母さんもそれを果たしたんだよな…。
「……だから……ほんとうに……ありが…と…アカツキ…」
だんだんとろれつが回らなくなってくる。
おかしいな。
まだまだ言いたいことはある筈なのに。
「いいから…。もう休め、シュン」
アカツキはそっと手を離して、俺の頭に乗せてきた。
落ちてくる目蓋に抗えない。
でも最後に見たアカツキの顔は不思議なぐらいにはっきりと目に映った。
アカツキはこっちを向いて微笑んでいた。
とても穏やかで優しい笑顔で。
どこかぎこちないけど、この一瞬にしかない笑顔で。
ああ。やっぱりこれは夢なのかな。
そんなことを思いながら、意識はゆっくりと沈んでいった。

