*
たゆたうように彷徨っていた意識が薄ぼんやりと浮き上がった。
あれ。
俺はどうしたんだっけ…。
此処は…。
何処とも判然としない。
凪いだ海の中にゆらゆらと浮かんでいる気分だった。
夢か現かもよく分からない。
でもはっきりと感じる気配があった。
おぼろげながら、傍に誰かが居ることに気づいた。
手を伸ばすとその手に触れた。
とても見知った感覚だった。
「……アカツキ」
その名を呼ぶ。
すると隣でわずかに身じろぐ気配が伝わった。
気づかれたようだ。
戸惑ったふうに握り返してきて…
また緩める。
なんだか様子が違った。
俺はぼんやりとしながらも、いつもと違うな、とだけ思った。
「なんかお前の声が聞こえた気がしたんだ…」
吐息のように呟く声がした。
「だから――お前に助けて欲しい、ってまた思ってしまった」
後悔の入り混じった声で言う。
「………アカツキ」
顔はよく見えなかったけど、アカツキが泣きそうな顔をしているような気がした。
「そんな顔するなよ」
いつの間にか強く握っていた手に顔を寄せる。
曇った表情をどうにかしてやりたくて何とか言葉を紡ぐ。
「お前にはな、すごい力があるんだ…」
気づけばそんなことを口に出していた。

