「――シュン……シュン…」
何度も呼ぶその声に目を覚ました。
ゆっくりと開いた目を動かすと、すぐ傍にアカツキの仏頂面があった。
上から俺を覗き込んでいる。
誰かが泣いていると思ったのはどうやら気のせいだったらしい。
その向こうには青空。
汚れがさっぱりと洗い流されたような綺麗な青空が広がっていた。
そういえば、アカツキの泣いているところをまだ一度も見たことない。
でもその心がいつでも強いわけではないことを、俺は知っている。
きっと、この仏頂面も何か感情を押し殺してるせいなのかもしれない。
ゆるゆるとよく回らない頭で考える。
ぼんやりと思いながら、上にあるアカツキの顔を眺めた。
元気そうだ。良かった…
そこで、あることに気づいた。
「……お前」
目尻に残ったその跡を見つけてしまった。
「……泣いてる?」
信じられない気持ちで訊く。
アカツキはハッとした顔で固まる。
その反応が何よりも雄弁に肯定していた。
(……そういえば)
頬の上に何か濡れてる感触がある。
もしや…これは、零れ落ちた…
「泣いてねぇっ」
バシッッ!!!
いきなり顔面に張り手が飛んできた。
「うぶっっ」
踏みつぶされたような声が出た。
痛えっ。
鼻がじんじんするし。
こっちも涙が出てきた。
「…お前なぁ」
鼻面を押さえて、相手を恨めしく見やる。
でも。
何だか許せた。
ほっと心が緩む。
妙な気分だけど嬉しかった。
いつものアカツキを確認できた気がした。

