静寂のような水音が鼓膜を満たした。
そして、重なり合ったまま激流の中に呑み込まれた。
ゆっくりと時間が流れ、過ぎていく。
ゆっくり、というのは感覚としての話だ。
実際のところよく分からない。
自分の中の音律が乱され、狂わされていっているようだ。
遡っているのか、進んでいるのか、分からなくなりそうに。
ごうごうという音が耳の奥まで鳴り響いていた。
その音がやがて弱まり、引いていく。
それから、ほんの少し、意識が遠のいた。
「――シュン」
とても耳慣れた声が自分を呼んでいた。
ぼんやりとしながら、覚醒する。
そのすぐ鼻先ぐらいの近さに、これまた見慣れた顔がこちらを覗きこんでいた。
「アカツキ……」
見慣れてるくせに、とても懐かしくて嬉しくて…。
思い至った途端に、ガバッと跳ね上がるほどの勢いで起き上がった。
「アカツキッ!」
つい叫ぶぐらいに大声を出していた。
「……どうした、いきなり」
傍に佇むアカツキは俺の反応に驚いたように、目をしばたたかせていた。
俺はまじまじとその姿を目に入れた。
目を擦っては、も一度見てみる。
まぎれもなく、間違いなく、正真正銘のアカツキが何事も無かったかのように元気な顔でそこに居た。
「……本当に……アカツキ、なのか」
そんなことを訊いてしまっていた。
「当たり前だろ。何言ってんだ」
アカツキは怪訝そうな目つきで俺を見て答えた。

