何となく腑に落ちなくて、渋面をつくった。
「…らしくねぇな。
立ちはだかるって言ったのはお前じゃなかったのか」
それでも奴は力なく笑うばかりだった。
いつものお喋りはどこかに吹っ飛んじまったのか。
俺は踵を返す。
その場から立ち去る。
……去ろうとして、
足が止まった。
「なぁ」
少し振り返って、声を掛ける。
「――お前さ…」
勝手に口が喋りだすんだ。
「……自分が普通じゃないだの何だの言ってやがったが……俺から見て全然そうは見えなかったぞ」
ぼそぼそと話しかける。
……って。
ナニ言っちゃってんだろな、俺は。
全然関係ないことを口走っていた。
相手の方をちらと見ると、やはり不思議そうな顔で俺を見てた。
「…見るからに普通に高校生活エンジョイしてたじゃねーかよ?ていうか、はっきり言って羨ましいぐらいだったぞ。モテモテだったじゃねーかよ」
瀬川は面食らったような表情をする。
しばらくそのままポカンと俺の顔を見上げていた。
それからすぐに吹き出すように笑った。
「それを言うならお前やろ。
二人の女の子に取り合われるなんてめったなこと、フツー夢の中だけやで」
「…………そんな覚えは無ぇよ」
素っ気無く答える。
どう思い出しても取り合われた記憶なんて無い。
一方的な猛アタックなら……あった気もするけど…。
「ああ、それから…
星羅ちゃんのことを恨むなよ」
「……何のことだよ?」
訝しげに訊く俺に、
「お前を刺したんは、あのコの仕業やない」
真面目な口調でそう告げた。

