俺は手を引っ込めながら、鼻を鳴らした。
「言われなくとも、行くよ」
当たり前だ。そんなこと。
……だが、
「お前こそ何がしたかったんだよ?」
「………さぁな」
奴はくたびれたような笑いを漏らした。
それっきり何も言おうとはしない。
珍しい光景だ。
「ほら。はよ行けって」
ただ促してくる。
降り落ちてくる雨粒は小さくまばらになってきていた。
もうすぐ降り止むだろう。
せかされるままに、行こうとして…。
はたと我に返った。
「…そう言えば、行ってどうすりゃいいんだ」
最も根本的な部分が吹っ飛んでいた。
がむしゃらにアカツキのところへ行く事ばかり考えてた。
アカツキは本当に屋上に居るのだろうか。
気の短いあいつならすぐにどこかに行きそうなものである。
動けないままにそこに居ると言うのか。
「――守り手はツキを安定させるべき存在。
だから暴走したツキは、お前が何とかできるはずや」
寝転んだまま言ってくる。
「……何だ、その投げやりな答えは」
「だって俺はお前に期待してへん。
上手くいかん確率が9.9割やと思てる」
さらっとそんなことを言う。
まったく酷い予想だ。
「でも……お前達なら、0.1割の運でも引き寄せてしまいそうな気がした」
俺はちょっとびっくりして、そいつの顔を見た。
「だからはよ行けよ」

