Fortunate Link―ツキの守り手―




俺はそれより一瞬早く屈んで避ける。

屈めたまま地を滑るように脇をすり抜ける。

ズシャァァァッ

泥の上に足をスライディングさせつつ、転がっていた刀を拾い上げた。

拾い上げたそれを抜かるんだ地面に突き立て、跳ね上げるように体を起こす。

軽々と。

信じられないぐらいに体は軽かった。

まるで重力なんて感じない。

翅でも生えたような心地だ。


その横合いから、槍のような鋭い突きが再び襲う。

俺は上体を反らして避ける。


――と。


ザシュッッ

擦過音ともに脇腹に熱い衝撃が掠めていった。


「……ッ」

よろめいて、後方へ下がる。

距離を取って相手を見据える。

訝しげに。


今のはおかしい。

自分の中では完全に”避けきれたもの”と思った。

なのに……

(――棒身が伸びた…?!)

その武器を注意深く観察する。


「どうしたよ?旗色が悪いか」

瀬川はニヤッと底意地悪く笑い、こちらの驚愕を嘲った。

脇腹を押さえて、相手を睨みつける。


さっきまで間合いが変わるなんてことは無かった。

何か仕掛けがある筈だ。

暗器には巧妙にその仕掛けを隠してあるものが多い。


「諦めるんやったら、ここで中断してやってもええで」

相手は笑ったまま、十手を持ってないほうの片手を上げて見せる。

余裕綽々と。


「むしろ俺は諦めるほうをお勧めするな。

全てムダなんやから」


飄然と言う。

だけど騙されない。

こいつのその態度にはいつも何かが見え隠れしていた。