次に目を開けたとき……。
その姿が前に在った。
声だけだったその姿がその場に顕現していた。
息を呑んだ。
信じられないぐらい美しい女性が立っていた。
何て表現すればいいんだろう。
言葉では到底言い尽くせないような美しさの。
あらゆる常識を超越した夢幻のような顔の造作。
絶妙なバランスを保ったしなやかな肢体。
ほけーっとその姿に見とれていた。
完全に圧倒されていた。
(……何だろう)
けれどそれだけじゃない。
圧倒的で威圧的なだけではない…。
言うなれば、溶け込むような温かさ。
不思議な懐かしさがあった。
まるで今までずっと傍に居てたような。
まるで今まで自分の一部であったような。
『――大切な存在が居るのだろう』
その、飛簾と名乗った女性は、若い顔に似合わぬ老獪な笑みを浮かべた。
思えばここは一体どこなのだろう。
一瞬だけ疑問が掠める。
(……けれど、まぁ)
いいや。
そんなのは、どうだっていいや。
疑問は泡のように弾けて消えた。
掴んでいた手が逆に強く握られる。
驚いて見るこちらの反応を目にしても、彼女は笑みを絶やさなかった。
『きっとそいつはおぬしのことを待っておるぞ』
荘厳だったその雰囲気がじわりと少し和らいだ気がした。
柔らかく包み込むような口調でそう告げてきた。
(――待ってる)
握られていた手がそっと離される。
『――己を待ってくれる者がいる限り、決して立ち止まってはならぬ…』

