ということは相手の攻撃を防ぎきれたのだろうか。
そんな楽観的な考えが頭をよぎった。
ただし一瞬だけ。
一瞬後には視界が反転していた。
振るった刀が何かに引っ掛けられ、そこを軸として体を投げ払われる。
受身も取れずに、背中から砂地に強く叩きつけられる。
だが、下が砂だったのが幸いして、さほどダメージは受けなかった。
(……あの鉤か)
どうやら十手の持ち手付近に付いている鉤(カギ)で刀を絡め取られてしまったらしい。
目がやられてしまって、そこまで見えていなかった。
そんなことよりすぐに起き上がらなければ…。
けれど、相手がそんな猶予など与えてくれるわけが無い。
未だ涙に滲む視界の中、頭上から十手を振りかぶる敵の姿が見えた。
「………っ」
瞬時に転がって避ける。
ザスッッ
頭の真横を掠って砂がえぐられる。
再び砂が巻き上がる。
頬に風を感じる。
(………まだ来る)
目を瞑りながら、全身を庇うように刀を掲げ上げた。
ガキィィィッ
仰向けの俺の上で、棒身と刀身がギリギリに交錯した。
(………危な…)
危うく頭をかち割られるところだった。
くそ、と思いながら見上げる。
人の頭を何だと思ってやがんだ。
すいかじゃないっての。
奴は微妙に笑いながら、俺の上に乗っかるような姿勢で、十手を交えてきていた。
笑顔が微妙ってとこが、いつもと違って怖い。
相手のほうが圧倒的に有利な体勢で、棒身に体重を掛けてくる。
だんだんと押されて、顔の方に近づいてくる。
少しでも気を緩めれば……ジ・エンド。
全身全霊を込めて耐え抜く。
その上方から忌々しい余裕げな声が掛かった。
「おい」
奴の煙草くさい吐息が鼻先を掠める。
「早く、とっておきのアレ、出せよ」

