体勢を完全に崩されるなかで、相手が接近してくるのが映った。
対してこちらは隙だらけだ。
奴は機を逃さず、上段から十手を振り下ろしてくる。
そこからは無意識に身体が回避行動を取った。
右手を跳ね上げられた勢いそのままに、後ろへ跳びあがる。
地に片手をつけ、宙返り、片腕だけを支えにバク転のように後方へ跳んだ。
綺麗にはいかなかったが、一応着地。
しかし着地した足場が妙に悪かった。
ズボッと足が足首まで土の中に浸かる。
(………砂場?!!)
思わぬ場所に踏み込んでしまったことに驚愕する。
だけど呆けてる暇は無かった。
ズザッと音を立てて、こちらへ跳び込んでくる影が有った。
そしてその姿を確認する間もなく…、
ズシャァァァ!!
いきなり視界を砂が覆った。
正確に言えば、砂をぶっかけられた。
砂場へ跳びこんできたそいつが、十手を振り上げて砂を巻き上げたらしかった。
反射的に目を瞑ったが遅かった。
閉じた瞼の奥でチクチクとした刺激が走る。
(……痛ぅ)
涙が滲み出る。
しかしやっぱり立ち止まっている暇は無い。
砂煙の向こう側から殺気が急接近してくる。
視界が覚束無いまま、感覚だけでその気配を探る。
(……左か)
ほぼやけくそで、その方向へ向けて刀を振るう。
ガキンッ
勘だったのだが、確かに金属的な何かに当たった。

