膠着状況に陥った、その状況を見て、
(……このままだとマズイ)
そう判断した。
このままだと手が持たない。
すでに腕が震え始めていた。
傷めている手首が限界に近づいていた。
奴はそれを見越して、力任せの攻撃ばかり仕掛けてきているんだろう。
俺はわずかずつ刀を傾けていった。
じわじわと、少しずつ、相手の力のベクトルをずらしていく。
受け止めている十手の棒身を刃の上に滑らせていく。
そして一気に傾けて。
シャ――――ンッ
摩擦で火花を散らせながら、十手を受け流した。
受け流しつつ、すぐさま右へ出る。
相手の横をすり抜け、相手の背後へ回り込む。
後ろを取る。
この隙を逃さない。
奴の背を薙ぎ払うように、峰を叩き込む。
ブンッッ
しかし刀は空振った。
相手がとっさにその場でかがんだのだ。
かがんで振り返りざまに、その屈伸をフルに生かして、ガラ空きになったこちらの懐に飛び込んでくる。
「動きがバレバレなんだよ」
ニヤッと暗く嗤って、十手を突き上げてきた。
下から。
目で捉えきれないぐらいの速さで。
無防備な俺の手元に、あやまたず、その突きがぶち当たる。
手首に棒の先が刺さり、突き上げられる。
「………うくっ」
痛みに一瞬、頭が白くなりかけた。
白くなりかけたが、すぐに意識を取り戻した。
(……やば)
けれど。
唯一、手から刀が離れなかったのが奇跡と言えた。

