考えるよりも先に体が動いていた…。
俺はとっさに持っていた袋の中身を引き抜いて、前方に掲げ上げた。
襲い来るそれを何とかギリギリで受け止める。
ガァァァン!!!
凄まじい音を鳴り響かせて、棒身と木刀がぶつかり合った。
その衝撃に耐え切れず、木刀がメキメキメキ…と軋みをあげる。
体温が下がるのを感じつつ、それを見た。
相手は片手で、こちらは両手でそれを受け止めてるというのに…。
それでもこっちの方が押されてる…。
「………くっ」
俺は木刀の刀身を抜きざまに、十手を押し返し、弾き返した。
鞘代わりになってた木刀の空がガランと地に落ちる。
代わりに。
その内から露わになって出てきたのは――鋭く光る真剣の刀身。
奴の言ってたように、これはただの木刀じゃなく仕込み刀だった。
外見は木刀、中身は真剣。
よく杖やら扇子やら傘やら、に隠されてるものが多い、古くからの暗殺用武器。
このいかにも殺伐とした武器を、親がある目的のために俺に与えた。
勿論、というか当たり前だけど、暗殺のためなんかじゃない。
アカツキを守るため、に。
とはいえ、他の暗器と違って扱いが難しいし、危険な代物であるために、めったに使うことはない。
これを出すのは久しぶりだ。
出さなきゃいけない、という何かに、必要に迫られたような気がした。
距離をとって、相手を見据える。
(………馬鹿力め)
顔に出さずに、苦々しく思った。
さきほどの衝撃でビリビリと手が痺れていた。
特に……右手首。
じんじん、と無視できないほどの痛みが意識に訴えかける。
くそ、と思った。
捻挫が治っていないのが何とも手痛い。しかも利き手。
「……怪我してるからって、俺は手加減せぇへんで」
奴はこちらを見て嘲笑う。
(………ちっ)
忌々しく睨む。
かばうようにして手首を握ったのを見抜かれたのか…。
相手に、勘鋭く、そのことに気づかれていた。

