「――居場所、だって?!」
気づけば頓狂な声を上げていた。
(……アカツキの居場所)
俺は食いつかんばかりの勢いで奴のほうへ歩み寄った。
勢い余ってまたも掴み掛かりそうになるのを何とか自制心を働かせて踏みとどまった。
そんなこちらの剣幕を目にしても瀬川は平然とした様子で「うん」と頷いた。
「別にさっき言ったことは嘘やないで。
明月ちゃんはこの場所におらへん。
そやけど、ここじゃない場所に、確かに居る…」
俺とは対称的な落ち着き払った口調で告げる。
「……ここじゃない場所?」
なんとか自分を落ち着けて訊き返す。
「そうや。ここじゃない場所。現実には存在しえない場所…。
明月ちゃんは現実を捻じ曲げたことによって、自らが生じさせた歪みの中に居る――」
奴の言う意味など全く分からなかった。
それでも構わなかった。
ただアカツキが居る場所を知りたかった。知りさえすれば良かった。
アカツキに会いたかった…。
早く会いたかった。
「どこだよ、そこは」
苛々と急く俺を見ても、瀬川は余裕の態度で穏やかに笑み返してきた。
「歪みの起点。それは明月ちゃんが現実を捻じ曲げた場所。
…そう言えばお前も覚えてるやろ?」
口の端はさらに吊り上がる。
「すなわち――学校の屋上」
その言葉に、俺はハッと元来た方向を振り返った。
学校はちょうどその先。
走っていっても五分は掛かりそうだ。
焦りは一気につのり、大いなる不審に姿を変えていく。
「……何で」
剣呑に相手を睨みつけた。
「……何で、わざとソコから離れた場所へやって来たんだ?」

