俺は、角を曲がった奴のあとを慌てて追った。
「おいっ」
苛立ち混じりに、
「――代償って…。何だよそれっ」
反駁するような口調で問いかける。
意味が分からなさ過ぎて。
瀬川はその先の小さな公園へと足を踏み入れた。
さらに進んで行き、その中ほどでやっと足を止めた。
辺りに人っ子一人見当たらない。
遊具は錆び錆び。塗装は剥げてしまっている。
しかも滑り台と鉄棒しかない。
そのうえ、立地条件が悪い。
裏は建設用廃材が積まれてある倉庫。
隣は人の住んでる気配が無い木造のアパートらしき建物。
それらに挟まれた三角形のスペースがこの寂れた公園。
瀬川は滑り台の梯子に腰掛けると、俺のほうに向き合った。
「しゃーないことや。
ツキをもつ分、不可逆のはずの流れに逆らい、世の理に干渉し、現実の事象を捻じ曲げる」
ひょいっと。足元に落ちている小枝を拾い上げる。
「捻じ曲げれば歪みが生じる。その歪みはいずれ本人に返ってくる。
どんな、あらゆる危険に姿を変えて」
その両端を掴んで指でたわめて、一端をピンと跳ね上げさせる。
「最初会うた時に言うたはずや。
――『ツキ』イコール『ラッキー』なものじゃないって」
枝の先を俺のほうへ差し向ける。
指し示された俺は顔をゆがめた。
無意識に足を強く踏みしめていた。
靴の裏で、ジャリッと砂の擦れる音が鳴った。
苛立ちを露わにする。
思ったことをそのままに口に出していた。
「……随分と矛盾した話だな。
運が良い奴が危険な目に遭うって言うのかよ?」

