Fortunate Link―ツキの守り手―



奴に促され、仕方なく場所を変えることになった。

階段を降り、廊下を突き進み、昇降口に出て。


上履きを下靴に履き替える。


「どこ行くつもりだよ?」

責めるように訊く。

話ならどこでだって出来る筈だ。


「なるべく人が居らへんトコへ」

背を向けたまま奴は答えた。


俺は怪訝にその背中を一瞥した。


「……アカツキは……どこに居るんだ…」

前を行く背に向けて問いかける。


顔を見られなくて良かった、と思った。

今は、きっと、酷く情けない顔をしているだろうから……。


「言ったやろ。ここは”明月ちゃんの居ない世界”やって」


平淡な声で答えてくる。

手に持つ袋をギュッと握り締めた。


「……ワケ分かんねーよ…」


そんな言葉は信じない……。

アカツキは必ず、どこかに居る。

絶対に……



「――なぁ」


悶々と考え込む俺に前から声が掛かった。

ハタと顔を上げた。


「お前、明月ちゃんの母親のこと、知っとるか?」


いきなりそう訊いてきた。
その唐突な問いかけに戸惑いながらも…。

「…ああ。アカツキから聞いた」

頷いた。

「何者かに殺された…って。
それは自分のせいだ、って言ってた」

思い出しながら、呟く。
あの時のアカツキは本当に辛そうだった。

「なるほど」

瀬川は納得するように言った。


「明月ちゃんは気づいてたわけやな。
自分の持つ力に。
そして、それに伴う代償を…」