俺はじっとそいつを睨んだ。
都合良く話を運ばれている気がして。
こいつの手の平に踊らされている気がして。
「ふざけんなよ」
低く響かせる。
もう我慢ならないとばかりに。
「てめぇがアカツキをどっかに隠してるだけじゃねぇのかよ?
そうに決まってる。絶対そうだ。一番しっくりくる。
んーで、俺らのことを思うように惑わしてるだけだろ。催眠だか暗示だか何だかを使って、よ」
…そうだ。
こいつの言うことなぞ信用ならない。
「第一、現実なんて変えられっこない。いくら明月の持つツキが強力だからって」
吐き捨てるように言い捨てる。
全て馬鹿げている。
アカツキが居ないなんて。
アカツキのことを皆は忘れているなんて。
その全ての原因は自分にあるだなんて。
そんな馬鹿な現実…。
…………到底、受け入れられない。
立ちすくむ俺の手元に何かが押し付けられた。
「信じられへんなら、そいつで俺をぶちのめせばええ」
渡されたのは細長い袋。
俺の持ち物。
中身は……
「木刀の中に仕込み刀。なかなかおもろいな」
ぷはっと煙を吐き出し、目を細めた。
煙る視界に俺は顔を顰めた。
「俺は大真面目に話してる。テキトーなこと言うてる思たら、そいつ使たらええで」
言って扉の方へと歩き出す。
「おい」
「場所を変えよ。便所で話すような話やないしな」

