突きつけられた胸元から凍るほどの冷たさが広がっていくのを感じる。
目の前が暗闇に包まれていく。
そして、あの生々しい感触を思い出した。
押し込まれた刃の冷たさを。
全身を貫く衝撃を。
噴き出していく血を。
冷えていく体を。
思い出す。
全て。
知らず、胸を鷲掴んでいた。
よろりと後ずさり、もう片方の手で顔面を押さえて呻いた。
「………あれは………現実…?」
信じられない、と思った。
そう割り切りたかった。
けど割り切るには、胸に刺さったあの感触が生々しすぎて。
まるで悪夢だ。
絶望そのものだ…。
「…やっと思い出したみたいやな」
目の前で、瀬川は、冷ややかに笑っていた。
(……そんな馬鹿な…)
うつろに、どこともない場所に視線を彷徨わせた。
喉が干上がっていくのを感じる。
…いや。
おかしい。
根本的におかしい。
あれが現実だとしたら、なぜ俺は…こんなに……無事なんだ?
「俺の話が信じられへん?」
瀬川は心中を察したように訊いてくる。
「……そうだな」
内心の動揺を抑えつけて、答えた。
「そっか」と奴は頷く。
その手を二本目の煙草に伸ばしながら。
「でもな。そもそもこうなった原因は――お前にある」
煙をくゆらせるその目は鋭い光を帯びていた。
危険な何かを潜めているような。
「……何だと?」
怪訝に聞き返す。
するとすぐに冴え冴えとした声が返ってきた。
「お前が……抜け抜けと刺されたりなんかしなけりゃ、こんなことにはならんかった」

