差し迫った気持ちで訊く。
焦っていた。
焦りすぎて、すっかり肝が冷えてしまっていた。
余裕なんてのは丸ごと消え去っていた。
アカツキが一人でどこかへ行ったのではないか、とか。なぜか姿を隠してるだけだとか。そういう希望的観測すら持てないぐらいに。
すでに思い知らされていた。
ここにいる誰も彼もが、アカツキを”存在しないもの”として認識している。
いや。まるで最初から存在しなかったように。
そしてそれが当たり前の事実として。
この異常を日常として受け流して。
アカツキの居ない穴を、不自然に白石さんが埋めようとしていて。
そして……。
この異常の正体を、この男は知っている。
知っている顔をしている。
目の前のそいつは、笑った。
ことさら何でもないことのようにさらりとその質問に答えてみせた。
とんでもない言葉を、さらりと。
「当たり前や。ここはアカツキちゃんの居らへん世界なんやから」
「……………………何?」
目が廻りそうになった。
――アカツキガイナイセカイ……?
俺は信じられないものを見る目で眼前の男を見つめた。
(何言ってるんだ、こいつは…)
もはやその言葉を意味あるものとして受け入れることは不可能だった。
愕然とするより呆然とするより、頭がクラクラとした。
「その様子やと忘れとるみたいやな」
瀬川は相変わらず口元だけで器用に笑ったまま、面白そうに言った。
そっと一歩踏み出し、密着するほどに接近してきた。
途端に、嫌な予感が電流のように背中を走った。
逃げたくなった。
けれど足が地にくっついたようにその場から動くことは出来ない。
奴は片手を持ち上げ、人差し指を俺の方に向ける。
その指を。
ぴったりと。胸元に。突きつけてきて。
「覚えてへんか?刺されたことを。」
抑揚のない声で。
「ちょうどここをグッサリ、とな」

