そして、その後も、まぁ…何とか和気藹々と白石さんと喋りながら登校した。
白石さんはいつもの通りの白石さんだし、何も変なところは無い。
こうやって普通に話せば話すほどにそのことを思い知らされてしまう。
多分、おかしいのは自分のほうだ。
そう分かっていながら、この釈然としない違和感をどうしても拭えない。
胸の奥に何ともいえない気持ち悪さを感じつつも、クラスの前の廊下で白石さんと別れ、教室へと入っていった。
大きく溜息を吐きながら、自分の席へと着く。
「よっ。朝から浮かない顔してんのな」
そこへ聞き慣れた軽いノリの挨拶が掛かった。
この教室に居る限り必ず視界に入ってこようとする、お気楽さが取り柄のクラスメイト。
「んー。ちょっとな」
わざと素っ気無く答える。
頬杖をついて窓の外に目をやり、顔をそらす。
今はちょっと一人になりたい。
だが、サトシはこっちの心境などお構いなく「よいこらせー」とジジィむさく言いながら、前の席にどっかと陣取った。
「なんだ?悩み事か?」
「………まぁ。そのようなもんだ」
突き放す気力も無くて、何となく頷いた。
「ふーん。どーせ悩みとか言ってあれだろ。絶頂に幸せすぎる、とかいう贅沢でムカつく悩みだろ。このモテ男がっ」
サトシが鼻息荒く憤然と言う。
何を怒ってるんだかサッパリ分からない。
「どーいうことだよ、それは」
「どうもこうも可愛いカノジョのことに決まってんだろっ」
力を込めて言ってくる。
「性格はちょっと扱いづらいだの、毒があるだの、って訊くけど、やっぱり顔の可愛さでいけば学年一に匹敵するんだと思うんだよな」
「うーん、そうかもな」
なんとなく頷いた俺を、サトシはギロッと恨みのこもった眼差しで睨んできた。
「……なのに!何でそんなコがお前なんかと付き合ってるんだっ」
「知るかよ」
うんざりと返す。
こっちはその事実すら身に覚えが無いんだ。

