首を傾げる。
自分の物だという自覚はあるのに、何でソレを自分が持っているのかを覚えていない…。
何か大事な目的の為にそれを持っていた気がするんだけど思い出せない。
考えようと、思い出そうとすると、頭の奥がズキリと鈍く痛む。
痛みを払うように額を押さえて一度目を閉じて、再び目を開ける。
やっぱり吸い寄せられるように視線がそちらへ行ってしまう。
俺は特に深く考えもせず、ほとんど無意識にそれを引っ掴んで部屋を出た。
「……あれー?」
待たせていた白石さんに一言謝り、家を出て、一緒に歩き出した矢先、
「シュン、それどうしたの?」
目ざとく、俺が肩に提げる長い袋を見つけた白石さんは早速に訊いてくる。
「あー、これは…」
どう説明しようか困って、口ごもる。
と、白石さんがハタと何かに思い当たったような表情をした。
「そっか!シュン、剣道部に入るつもりなんだ。そうでしょ?」
「え?!」
「だって中学生の時、剣道部だったんでしょ?なのに高校に入ってもどの部にも入部しないっておかしいって思ってたんだー」
その言葉に思わずたじろいだ。
「……なんでそんなこと知ってんの?」
「シュンが教えてくれたじゃん。学祭のときに」
「そうだったっけ」
「そうだよ。一緒にあれこれ回った時に、いろいろ教えてくれたじゃんか」
張り切って言ってくるその笑顔を見ながら、俺は「うーん」とまたまた首を傾げてしまった。
疑問に思うところはひとつ。
学祭を白石さんと一緒に廻ったっていう部分。そこがどうもおかしい。
違う誰かと一緒だった気がするんだが…。
けれど、それが誰だったかまでは思い出せない。
思い出そうとすると、また、鈍い頭痛が襲ってきた。
そして靄がかかったように思考が滞ってしまう。
「うー…」
唸りながら、顔をしかめた。
何かが、激しく、おかしい…。

