「そんなことしてる場合じゃないでしょ…って聞いてるの?」
「ほら。こんなんとか似合うんちゃう?」
ショーケースに飾られているネックレスを指差して言った。
「ちょっとこれ、出してもらえます?」
傍にいた店員さんに声をかけた。
出してもらったネックレスを雅の首筋に当ててみる。
「うん。今の服にも合ってるし。ええやん。
あ、これ買いますんで」
そのままお金を支払い、店員さんに頼んで雅に付けさせた。
「何、勝手なことしてんのよ」
雅は横目に睨んできた。
「ええやん。可愛いで」
そう言うと、雅は微かに頬を赤くした。
「馬鹿」
そう言って、先を歩く。
こうしていると、まるで年相応の女の子だ。
「あっ」
雅は立ち止まった。
そこには一人で泣いている男の子がいた。
「迷子か…」
雅が近づいていき、声をかける。
「どうしたの?」
「パパーママー!!パパー!!」
男の子は叫びながら泣いている。
「周りに、パパとママは居なさそうやな…って、雅!」
辺りを見回すと、尾行していた暴力団の男が下の階に移動しようとしているのが見えた。
「わかってる。
あなたはここにいて。私が行くわ」
「ええんか、お前だけで」
「大丈夫。
男の子のことはまかせたわよ」
そう言って走り去っていく。
しかし、この事が後々の後悔へ繋がってしまうことになる。
外に出た暴力団の男を追いかけた雅は、路地裏で何者かに刺され、亡くなった。

