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俺は水波雅の護衛をしているわけだが、彼女の傍に四六時中居るわけではなかった。
必要な時、言われた時間の間だけ、彼女を護衛した。
そしてそれ以外の時間はといえば。
このお嬢様は、勝手に夜中にどこかへ出掛けてしまうことが多かった。
そんなある晩。
俺は玄関で雅の帰りを待ち構えていた。
彼女が姿を現すなり、声をかけた。
「どこへ行っとったんや?」
「ちょっとした買い物よ」
「ちょっとの買い物でそんな血塗れになっとったら、すぐ捕まると思うねんけどな」
俺は嘲笑いながら言った。
雅は顔についた返り血を手で拭い、息を吐き、ぽつりと呟いた。
「…探し物が見つかった…」
「探し物?」
「強大な運気の流れ、よ」
俺はハッとして雅を見た。
「……それって…」
雅は自嘲気味に微笑みながら、答えた。
「本来、私が持つべきだった能力よ」
「………」
彼女はどんな思いでそれを探していたのだろう。
そう考えると、胸が苦しくなった。
「でも取り逃がしちゃったわ」
俺はそんな雅をじっと見つめ、
「…誰かを…殺したんか?」
「ええ」
雅はあっさり頷いた。
「探し物の持ち主の…その母親を、ね。
殺すつもりはなかったんだけど」
「その持ち主って…、子供なんか?」
「ええ、そうよ」
またも雅はあっさり頷いた。
「多分、私と同じぐらいかもね」
「………」
「どうしたの?」
「その子も……殺すんか?」
「さぁ」
雅は首を傾げた。
「まだ分からない。
利用できるなら生かして利用したいけどね。
それなら、こんな、周りに頼ったやり方をせずに済むかもしれないし」

