すると、白石さんは目を動かさないまま、ガタガタッと瘧のように震え出した。
異常なまでに全身を震わせている。
固まっていた笑顔が崩れ、見る見るうちに青ざめ、青さを通り越して白くなっていく。
どう見たって普通の状態じゃない。
「白石さん、大丈夫?」
肩を掴んで、訊ねる。
体調が悪化したのではないか、と一番にそう思った。
けれど、
「……い、いやっ」
その俺の手を拒絶するように荒々しく振りほどき、
「いやっ!いやぁっ!いやぁあっ!!」
色を失った顔で、わめくように叫び始めた。
「白石さんっ!」
何事か、と考える余裕も無かった。
必死で呼び掛ける。
「どうしたんだ?!」
それでも彼女はわめく声を止めない。
「落ち着いてっ!何か知んないけどっ!大丈夫!大丈夫だからっ!」
その尋常じゃない恐慌ぶりに、こちらまで我を見失いそうになる。
どうすればいいのか、どうすればこの状況を収められるのか、全く見当が付かない。
背中が凍るように冷たくなっていく。
焦燥に胸が押し潰れそうになった、そのとき。
突然に、白石さんが俺の腕を掴んできた。
「いやあぁぁっ!シュン…」
ほんの少しだけ我を取り戻したらしい、その目が縋るように俺を捉え、
「シュンッ!逃げて!私から逃げて!お願いだから逃げて!!」
「………え?」
その言う意味が全く分からなかった。
そして理解できる間もなく、
ドンッと彼女に思いっきり突き飛ばされた。

