「そーいうズルは駄目だって思ったの。
私は正々堂々とシュンを奪いたい。月村さんに負けたくない」
双眸に力強い光が宿る。
真っ直ぐに熱い視線をこちらに注いでいて。
「…………」
俺は石にされたみたいに固まった。
彼女はどこまでも、純粋なまでに、真剣で。
今、全力で、ぶつかってきてくれてるんだってことにもさすがに気づいている。
だから。
こちらもそれに対して、真剣に考えて真剣に答えなくちゃならない。
俺は……答えを出さなきゃいけない。
でもまだ……。
「…………」
中途半端に開いたままの口からは何も出てこない。
この気持ちを言葉に出来ない。
形に表せない。
何かが足りなくて。
自分の中の何かが、まだ、足りてなくて。
答えは…………決まっていても。
俺は……
まだ……あいつに……。
「時間が要るのなら、まだいいよ」
こちらの心を読んだみたいに、白石さんは言った。
「言ったでしょ。
シュンが月村さんのことをどう思っているのか、その本当の答えが分かってからでいいって」
揺るぎ無い口調で言う。
「だから待つよ」
「………」
その顔を見て、俺はどうしても気になっていたことを訊いてみることにした。
「あのさ…」
「うん?」
「どうして、俺のことが好きなの?」
正直、なんで俺なのか、という疑問がずっと胸の奥に渦巻いていた。
白石さんぐらい可愛いクラスだと、その…、もっとかっこいい奴を狙えるんじゃないかと余計な心配をしてしまう。
「………」
しかし、白石さんはなかなか答えてくれなかった。

