Fortunate Link―ツキの守り手―


そんなこんなで、一時間目をサボって、近くの駄菓子屋で奴のご要望のものを買ってきたわけだが。

それを渡そうと思って、瀬川を探せど、奴はどこに消えたのか、いっこうに見つからない。

で、そうこうしている間に二時間目が始まっちまうよ、という時間になってしまったので。

俺は諦め、次の授業のため移動した。

2時間目は体育で、水泳だった。

皆は水着に着替え、体操したり準備しているが、俺はプールサイドにて、ぼやーっとベンチに佇む。

「うはぁぁっ。日差しガンガンッ。ウルトラバイオレットォゥ~」

水着一丁姿のサトシがやって来て、隣でやかましくぼやく。

俺は一人寂しく見学中。
理由は右手首の捻挫がまだ治ってないせいだ。

「いいなーっ。都合良く休みやがってー。こっちはもう焦げそうだよ」

「いいじゃねぇか。日差しを浴びることは骨を丈夫にするらしいぞ。ビタミンDがどーたらで」

適当にあしらう。

「骨?そーなのかっ?うんっ。そうだよなっ!」

単純な馬鹿は簡単に納得し、「夏の日焼けと真っ白な歯こそ男の勲章っ!」と言いながら足取りも軽やかにプールサイドへ戻っていった。

お気楽はいいな…。

その背中をぼんやりと見送る。

サトシの馬鹿はあの通り勝手に羨ましがってきたが、俺としてはむしろ泳ぎたい気持ち満々だった。

見学だけでは無論、授業を受けた事にはならない。
面倒なことに、代わりとなるレポートを強制的に課せられることになる。

それならば、この夏のクソ暑い中でもザバザバ泳ぐほうが、体も冷やせるし、ラクでいい。


「……あーあ」

何となく気分は晴れない。

頭上では嫌味なほどの夏の晴天が広がっているというのに。


「おーい。守谷」


声がして、顔を上げる。

プールを挟んだ対岸から女子担当の体育教師が手を振り、俺を呼んでいた。