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「……あの野郎。
人に物を頼んでおきながら、どこ行きやがった?」
休み時間。
俺は廊下をずんずん歩いていた。
校内で、瀬川の阿呆の姿を探すも、いっこうに見つからない。
俺がこうやって奴を捜しているのには理由がある。
それは――あの約束の行使。
『今な、辛い棒を切らしてんねん。買ってきて』
腕相撲に勝利した関西弁は、そんな馬鹿な要望を悠々とのたまってきたのだ。
本当に馬鹿な要望だ。
しかし約束は覆されないので拒否もできない。
『じゃあ、放課後に買ってくる…』
俺は、渋々に、嫌々に、仕方なぁく了承した。のだが。
しかし奴は『あかん』と断固として首を横に振った。
『俺は”今すぐ”欲しいねん』
そう嫌味ったらしくはっきり強調する。
『知るかよ、そんなの』
こいつの都合なんて知らない。知るもんか。
『そんなこと言ってええんかな?』
すると奴はニヤッと笑いを浮かべて、おもむろに携帯を取り出し、入手したばかりらしい”それ”を見せつけてきた。
『…おーっと。この画像、知り合いに一斉送信したろかな』
『わーっ!やめろーっ』
思い出して、更にげんなりとした。
あの後、アカツキに「何あっさり負けてんだ!馬鹿か!まじ死ねっ!」と怒鳴られ、公然と踏んで蹴られた。
文字通りの踏んだり蹴ったりだ。
馬鹿な勝負を吹っかけられるわ、負けるわ、パシられるわ、殴られるわ…。
朝一からこれほどの不運に見舞われると、先が思いやられる。
『今日は何をやっても丸っきり駄目でしょう』
占いの通り、本当に今日という一日が駄目な気がしてくる…。

