そこで、ようやく、雅はその笑みを消した。
「そこまで知っているなんて…。
――お前、何者?」
雅の表情の変化を見て、ようやく蓮は少しだけ笑った。
「俺は――風魔の一族の生き残り」
「………」
少しだけ時が止まったかのような間があった。
「……風魔の?」
「信じられへんって顔しとるな」
不敵に笑う蓮。
「あんたは風鬼の封印を解き、その言うことに従ったことにより、
風魔の里の禁を破ったとして、一族に捕らえられた。
だがその直後、あんたは風鬼の力を借りて、風魔の一族を皆殺しにし、里から逃げ出した」
「ふっ。
風魔の人間は全員残らず消したと思ってたんだけど…」
「残念ながら一人取り逃がしてたようやな」
そう言って自分を指差す蓮。
蓮の言葉に、雅は愉悦に表情を歪めた。
「それでお前の目的は何?
私に対する復讐?」
「…復讐?くだらんな。
事態はそんなしょーもない私情を挟んでる場合じゃなくなってきとる」
蓮の表情がいつもとは違う険しいものに変わりつつあった。
「俺があんたに言いたいことはただひとつ」
蓮は相手を睨み、こう言い放った。
「これ以上、シュンに対して余計なことをするな」
「………」
しばらく雅は何も言わず蓮の方を見ていた。
しかし、やがて、その肩が震え始め、
「ふふふ…くくくく…あははは…」
声をあげて笑い始めた。
その様子を訝しげに見る蓮。
「…何がおかしい?」
そう問いかけると、雅は「くくく」と笑いを漏らしながら、
「もう遅いわ」
そう言い放った。

