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中央校舎と南校舎を繋ぐ連絡通路。
そこを一人の男子生徒が歩いていく。
その上の階の部屋の窓からその姿を見下ろす女子生徒の姿があった。
そこへ、
「今日は朝から、えらい熱心に俊を見とるようやけど」
彼女の背後から関西弁の男子生徒――瀬川蓮が呼び止めた。
「何をたくらんどる?」
問いかけに相手は振り返る。
その漆黒の長い髪がさらりと扇状に翻った。
「ふっ」
妖艶に微笑むのは――水波雅(ミツハミヤビ)。
蓮と同じ時期にこの学校に来た編入生。
「お互いの行動には不干渉でいるって約束じゃなかったかしら?」
「せやったな。
それを条件に、俺は、あんたがこの学園に編入することを手助けした。
せやけど、もう一個交わした条件も忘れてないよな?」
「守谷俊に手を出さないこと――だっけ?」
「せや。
あんたの目的は守谷俊に近づくことなんやろ。
だからこそ、そういう約束をしたんや。
ま、予想通り、あんたはその約束を破りまくってくれてるわけやけど…」
「ふん。
まるで全てを知っているような言い方ね」
「ああ、知っとるで。
あんたの本当の正体も…」
蓮は雅のほうへ一歩近づき、相手を見据えた。
「あんたの本当の正体は――雨宮紅羽(アマミヤクレハ)。
守谷俊の本当の――産みの親や」

