「ふはははっ。俺の勝ちー!!」
瀬川は俺に見せつけるように、Vサインを突き出してきた。
「てめっ」
俺は顔を中途半端に強張らせながらそいつを睨んだ。
だって、物凄く腑に落ちない。
純粋な力勝負ならまだしも、完全に卑怯な方法にしてやられた。
そんな俺の心境が見え透いたらしく、
「しゃーないやん」
奴は周囲の歓喜を満足そうに眺めやりながら言う。
「ああでもやらんと勝たれへんかったもん」
俺はせりあがってくるムカムカを抑えながら、
「そうか?やけに余裕っぽく見えたがな」
「余裕なんて全然無かったで。いっぱいいっぱいや」
そして奴は間を置き、したり顔の底意地の悪い笑顔を浮かべて、
「俺は体力馬鹿なんかやないからなっ」
余計な一言を発する。
「…………ぉぃ」
聞き捨てならないその言葉に、キレる一秒前みたいな心境になった。
体力馬鹿ではない、だと?
即ちアレですか。俺が体力馬鹿だと言うことですか。
「まぁとにかく。俺が勝ったことやし。
約束のあれ、実行させて貰うで」
「………約束?」
と聞きつつも思い出す。
何か言ってたな、そういえば。
「忘れたとは言わさんで。
”負けた方が勝った方の言う事を何でも聞く”って決めとったやろ」
そういうところだけは抜け目ない馬鹿は言う。
決めたのは勿論こいつな訳だが。
「……ちっ」
だが、約束は約束。負けは負け。
男には一言も二言も無い。
「……何させるつもりだ?」
凄まじく嫌な予感を感じつつも訊ねた。

