そういえばこいつは学園祭の時の俺の女装を見ている…。
気づかれたって何らおかしくなくて。
「やっぱりなぁ」
俺の反応を見て確信したらしく、笑い始める。
「はははははっ!おもろっ。やっぱり絶対欲しいわ!」
「……何ぃぃっ」
俺は危機を察して、瞬速でサトシの携帯を掴んだ。
が、やっぱりこの関西弁も手を離しやしない。
ギリギリと引っ張りつつ、
「…何でそんなに欲しがるんだ?」
「だってこれ知り合い全員に転送して、流布したら面白そうやし」
「知り合いって」
「俺、もうこの学校の友達とか結構おるんやで?メアドも50件近く入ってるし」
楽しそうに教えてくる。
恐るべきネットワークだ。
「ぬあっ。そりゃ駄目だ。これは無料での二次配布禁止!」
サトシが慌てて付け加える。
「分かったって。じゃあちゃんと金取るから」
仕方ないなと、了承する。
……ってか何ちゅう会話だ。
「待てっ。やめろ!絶対そんな事させんぞ!」
俺は携帯を掴む手に力を込める。
「……ケチやなぁ」
瀬川馬鹿は口元を曲げ、呟く。
ケチとかそういう問題じゃない。
こいつに渡れば、学校中に画像が出回る可能性だってある。
俺は頑として反対の姿勢を崩さない。
奴の方も携帯を離さず、真逆に引っ張られてる本体が軋みをあげる。
それを見て取ったサトシが焦り始め…。
「埒あかんなぁ」
瀬川蓮がその膠着状態を見て笑う。
「じゃあ、”これ”を賭けて勝負するってのはどうや?」
唐突に提案を持ちかけてきた。

