Fortunate Link―ツキの守り手―



もしかして、
アカツキは既にこの事実を知っていたのかもな…


今になってそう気づいた。

あいつは女友達がやたらと多い。

友達というより、妹分と言ったほうがしっくりするかもしれないが。

同学年の女子の情報なんて、すぐにあいつの耳に届くだろう。

白石さんが金持ちだって事は既に分かっていたんだと思う。

いきなり変な話を持ち出してきた俺を見て、

さぞかし「まんまと騙されやがって馬鹿な奴」と思ったことだろう。

あの俺を見た蔑んだ目にはそう云う意味がこもっていたに違いない。

そう気づいた途端に、無性に情けなくなってきた。

恥ずかしくて死んでしまいそうだ。


「……何で」

「何で騙したのかって?」


白石さんは慣れた手つきで紅茶を煎れながら言った。


「最初は騙すつもりなんて全然無かったわ。

月村さんの様子を伺ってたら、貴方が私に気づいた素振りを見せた。
どうせ気づかれてるならわざと捕まってみようって思ったの。
上手く操って、月村さんと話を利いてくれたら一石二鳥じゃない」


…すごい女だ。

草に躓いて転ぶようなか弱い女子には到底見えない。
やっぱりあれも演技だったか。

アカツキの方が10倍マシに思えてくる。