「この格好のほうがバレねぇんじゃねーの?」
アカツキがそんなことを言ってきた。
「無理だって」
きっぱりと返す。
思えば今日この格好で居てからにろくな目に遭ってない。はっきり無理だ。
アカツキはシャツの襟元に手を掛けながら
「面倒くせぇな」
ぼそりと呟く。
面倒くさがってどうするよ。
「だったらもうずっとそのままで居ろ」
いっそそっちの方が似合ってる気がする。
まぁ元々の性格がアレだからな。
「おい」
いきなりドガスッと後頭部を拳で殴られた。
「……いっつぅー」
呻きながら叩かれた箇所をさする。
本当に手加減ってものを知らない。理不尽な暴力反対。
「思ってる事が丸分かりなんだよ」
ムッとしながらアカツキが言う。
「え」
指摘されたその言葉にギクリと反応してしまう。
もろバレ…。
俺ってそんなに思ってることが顔に出てるのか。それともアカツキが鋭すぎるのか…。
「顔に出すぎなんだよ」
アカツキにずばりと言われてしまう。
(……そうですか)
残念ながら返す言葉も無い。
そういえばいっつも思ってる事がバレるから、もしやアカツキがエスパーなんじゃないかとも疑ってたんだが。
さすがに違ったか。
……気をつけないとな。まじで。
ガクリと肩を落とす、その向こうから、
ヒュゥゥゥゥン――と。
どこか頼りない花火の打ち上がる音が夜闇を切り裂いて響いた。
☆::::第14話へ続く:::::☆

