「…なぁ、これもお前がやったのか?」
アカツキに右手首を見せながら訊いた。
そこにはしっかりと包帯がキツすぎず緩すぎず綺麗に巻かれている。
正直、この丁寧さはアカツキではありえないよーな。
「いーや。あの日暮夕月とかいう保険医がやってきて勝手に手当てしていったんだ」
「……へぇ」
(…母さんか…)
いつもこうやって、さりげに俺達を助けてくれているんだな…。
胸の奥が少し熱くなる。
「一応病院で診て貰ったほうがいいかも…とかなんたらかんたら言ってた気がする」
「大丈夫だって。ただの捻挫だし」
軽く言ってみるが、利き手がしばらく使えないことは確定だ。何となく鬱に陥る。
でもアカツキには気取られないよう、何でも無い振りをして立ち上がろうとした。
「……待て」
そのアカツキに引き止められてしまった。勘づかれた?
思っていることを読まれすぎだ。俺ってそんなに顔に出ちゃってるのか。
「――話があるんだ」
アカツキがそう切り出した。
どうやら誤魔化そうとしたのがバレたのではないらしい。
「何だ?歩きながらでも話は出来るだろ」
「いや…」
アカツキは顔を曇らせ、首を振った。
そこに居るのはいつものアカツキではなくなっていた。
「――真面目な話なんだ」
とても似つかわしくない声でそう告げた。
俺はベッドに腰を下ろし、アカツキは簡易椅子に座った。
完全に話を聞く体勢に入ったまま、待つ。
「話がある」と言い出したのにもかかわらず、アカツキはなかなか切り出さない。
思いつめた様子で宙の一点をひたすら見つめている。何となく気まずい。
たまりかねた俺のほうから口火を切った。
「何か話したくないことなら無理して話さなくたっていいんだぞ」
「…………」
それでもアカツキは何も言わない。
……大丈夫かな。聞こえてんのかな。
あまりの無反応さに不安に駆られてしまう。
「……最近」
不安に思っていたら出し抜けにアカツキが話し始めた。これはこれでびっくりした。
「……悪い夢ばかり見る」

