何なんだよ、本当に…。
この声の主は何者なのだろう?
ぼんやりと知っているような気はする。
でも知っているようで知らないような…。
姿が無いと思えば、俺の中からその声が響いている気がするのは気のせいだろうか?
『――いつも、わらわの力を勝手に引き出しておる癖にのぅ…』
親しげに語りかけてくる。
しかし言ってる事がさっぱりだ。
言葉遣いも変だし。
誰だよこいつ……。
『ふふふ…。そう容易くは名乗ってやらぬわ』
こちらの心の内など筒抜けのように答えてくる。
おまけに態度…というかセリフがとてつもなく横柄だ。
全くもって捉えどころのない相手だが一つだけ感じることがある。
……人という枠組みから外れた圧倒的な気配。
『…我が名を教えてやるにはまだ早い。わらわの存在を未だちゃんと認識しておらぬ小童ごときにのぅ…ほほほほ』
愉快そうに笑いやがる。
…まったく。
一人で喋ってんだか、俺と対話してるんだか、分からないぐらい自分勝手に話している。
名前を教えてやるだの、それがどうしたっていうんだ。
正直そんなのどうだっていい…。
『――分かっておらぬなぁ』
何となく俺が心の中でつぶやいた言葉に、ちゃんと返事を返してきた。
『…まぁよい』
笑いを収め、呟く。
その気配が水に溶けていくように薄まっていく。
『……いずれ、おぬしは必ずわらわを呼ぶだろう』
声が何も無い空間に溶けていく。
溶けて消えいく。
『……必ずや呼ぶだろう』
確信めいた言葉とともに、その気配ごと跡形も無く消える。
同時に、俺の意識も醒めていった。

