縦横無尽に襲う杖の軌道を見極め、ひたすらにぎりぎりでかわし避ける。
いつ当たってもおかしくないぐらいだった。
やはり受け手だけでは限界がある。このままだといつかはその攻撃の餌食になってしまうだろう。
だが、そんな中で機をうかがっていた。
一瞬だけでいい。一瞬だけその攻撃を止めることができれば…。
横薙ぎに一閃。
これだ、と思った。
よろけるふりをして、不必要に身をかがめて避けた。
わざと次の攻撃の的となるために。
敵がこの機を逃すわけが無い。
薙いだ後、かがんだ俺を叩きのめすべく高々と杖を振りかぶり頭上から振り下ろしてきた。
びぃゅゅゅぅぅと甲高い風の音が鳴った。まるで空気を切り裂いたような。
俺は膝の屈伸を最大限に生かし、横へと逃れた。
がら空きになった敵の側面へと。
前進しながら手に握っていた砂を顔面に投げつける。目潰しに。
虚を突かれた敵は杖を振り下ろしたままその動きを止めた。
――その一瞬でよかった。
半身になり、足を振り上げる。
体をよじり、しならせながら、全身の力を足の先へと伝達させる。
強く澄んだ流れが体を駆け巡り、迸る。
その全ての流れを一つ流れに変え、凝縮させる。
今の俺にはそれが出来る、自信があった。
『――今だ』
そんな声が体の内から頭蓋に響いた気がした。
その渾身の蹴りを相手の横っ腹へと放つ。
空気が唸り、風が巻き起こる。
風を纏った蹴りが男を捉え、軽々と吹き飛ばした。

