Fortunate Link―ツキの守り手―



「考え無しに突っ込んでくるとは…」

男の侮蔑のこもった呟きがその場に落ちる。


俺は茫然と地面に倒れたアカツキを見つめた。


――貴様は何も守れない。

その事実を今、目の前でまざまざと見せつけられていた。


俺は…。
俺は何をしているんだ…。

こんなところに這いつくばって何をしているんだ。

その悔しさに怒りに情けなさに、全身の血が沸き立つ。

守れないだと?
そんな筈が無い。

俺は守り手だ。

この身は守る為にある。守る為にここに居る。
何があっても何を差し置いてでも守る為に。


ぐぐぐっと手に力を込める。指が土の中に食い込む。

身体が痛みを訴える。神経を揺さぶる。動けないと悲鳴を上げる。けれどそんなもの構うものか。

痛みなど些末なものだ。
今、この一時だけは、切り捨てればいい。

転がっている場合ではない。

動かないと意味が無い。
動かないと意味を見失う。


片腕で踏ん張り、足で踏ん張り、よろよろと立ち上がった。

砂を握り締めた拳をぎゅっと握る。


呼吸を落ち着けるとともに神経が研ぎ澄まされていく。

熱く滾る心とは裏腹に、巡る血潮はどこまでも穏やかで。

清く澄んだ流れが身体を満たす。

敵を静かに見据えた。

倒すべき敵を……。


「――やっと本気になったか」

男は待っていたと言わんばかりに口元だけで笑った。